バイオ茶の宮崎上水園

創業明治二十九年 バイオ茶の宮崎上水園

STORY 宮崎上水園のお茶づくり 「急がず、休まず、怠らず」

Vol.25

三股の郷土芸能、ジャンカン馬

宮崎上水園がある、宮崎・三股町中米地区の郷土芸能が、ジャンカン馬踊り。稲作がはじまるにあたり、豊作と馬の安全、無病息災を願って、毎年4月29日、早馬神社の「早馬まつり」にて踊りを奉納します。都城市や三股町がある北諸県地方あたりで継承されてきました。三味線や鐘、太鼓の演奏に合わせて、華やかに飾り付けた大きな馬が踊り手たちとともに巡行します。

100戸ほどの小さな中米地区は、みんなが総出で参加します。住民が少ないので、馬踊りの馬も都城市から借りていましたが、2000年、三股町の馬を飼うこととなり、中米地区が飼育管理をまかされることとなって、「中米ジャンカン馬踊り保存会」が発足しました。ところが、初代が6年目に、続く二代目も、蹄葉炎を発症して命を落としてしまったのです。馬はひづめが命と言われますが、生きものの難しさを痛感しました。

三代目を購入することとなった2011年、保存会から上水園で馬を預かってもらえないかと尋ねられました。これまで馬に直接携わったことがなく、躊躇しましたが、保存会の花原照明さんが日々のお世話を買って出てくださり、引き受けることになりました。

そこで、上水園の工場内にあった藤棚を取り壊し、その鉄骨を骨組みにして、馬舎をつくることにしました。資金はほとんどありませんでしたが、皆さんからの寄付や協力によって、2015年10月、馬舎と運動場が完成。現在は、花原さんと、中村晴美さんが毎朝6時に馬舎へ来て、30分ほどの引き運動をおこない、ブラッシングしたり、ひづめが乾燥しないように保湿したり、丹念にお世話をしてくれています。

新しい馬舎へ連れてくるときには、左前脚を痛めて、蹄葉炎を発症してしまったけれど、獣医に化膿止めの処置をしてもらい、バイオ茶栽培にも用いている、ミネラルを餌に与えると、1ヶ月ほどで改善し、2ヶ月後にはまつりに出られるほど元気になりました。植物にも、動物にも、人にもミネラルはやはり欠かせません。

馬の名は、栗姫号。体高は2m余り、体重は約1トン。横浜市にある「馬の博物館」の学芸員の方から「日本最大級」というお墨付きをもらいました。その大きさにきっと驚かれると思いますが、つぶらな瞳で可愛い。いまではすっかり私たちのアイドルです。春の早馬まつりと、秋のふるさとまつりには必ず登場し、さらには、鹿児島神宮の初午祭、長崎ハウステンボス、横浜の馬の博物館やウィンズ横浜などにも招かれて、踊りを披露してきました。また、2021年には「日本観光振興協会 九州支部」、「宮崎県観光協会」から表彰いただいています。馬舎は上水園の店舗からすぐ、お越しの際にはぜひのぞいてみてください。


ジャンカン馬踊り
ジャンカン馬踊り
毎年4月29日の「早馬まつり」にて奉納する、ジャンカン馬踊り